科捜研の女~渡り蝶の秘密(1)大学教授傷害事件

登場人物
榊マリコ 京都府警科学捜査研究所、通称“科捜研”の法医研究員。科捜研の名物研究員として知られている。 沢口靖子
土門刑事 京都府警捜査一課刑事(警部補)一匹狼的な性格で、団体行動が苦手。直情的に突っ走ることが多い。 内藤剛志
刑事 土門以外の刑事は単に「刑事」としています。
日野和正 科捜研所長。文書鑑定担当(筆跡、印影、写真複製物等によって印字された文字の識別。偽造通貨鑑定等)。 斉藤 暁
花森栄一 城南大学昆虫学研究会 教授・昆虫学者。付属病院で理科を教える。 岩松 了
磯辺礼子 城南大学准教授。付属病院で国語を教える。 渡辺 梓
宮内あすか ブローチ店経営者・花森教授の元教え子。 小池里奈
平良圭介 沖縄の不良グループ「バジリスク」元リーダー。
三浦孝太
石黒竜夫 沖縄の不良グループ「バジリスク」元メンバー・クラブ経営者 細川 洪
照屋江美子
種子島の民宿の主人
山下裕子

京都の城南大学の研究室で一人の教授が襲われた。一命は取り留めたものの重症を負ったのは、日本の昆虫学の権威・花森栄一であった。倒れている教授を発見したのは、同じ大学の同僚で准教授・磯辺礼子である。論文を書いていて遅くなった彼女は、花森教授の研究室の明かりが気になって覗きに来たのだった。

現場には凶器とみられる消火器が落ちており、被害者の血液が付着していた。残された指紋は どれも不鮮明で手掛かりにはならなかった。床と窓枠から水砕スラグ(路面の舗装に使われる人工砂)の粉末が採取できた。犯人は窓から逃げたと思われる。

また、被害者の指に付着物があり成分を調べたところ、ドライジン・ライムと抹茶の粉末が見つかった。そしてさらに一頭の蝶の標本が現場で発見され、その羽には次のように文字が書かれていた。
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“2012年9月3日 JH 宮内あすか”
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「脳に損傷は見られませんでしたが頭部から脊椎周辺にかけては一切 刺激を加えないようお願いします。」
「田中先生!花森先生が大怪我したって本当なんですか?大丈夫なんですか?」
宮内あすかが駆けつけて聞いた。この病院には小児科患者のための支援学級があり、教授は 自身の研究の傍らここで理科の授業をしていた。宮内あすかは、花森教授の元教え子の一人であった。

被害者の頭頂部には挫創があり、首に索条痕があってシルクの繊維がわずかに付着していた。犯人は、最初は花森教授を 絞殺しようとしたが激しく抵抗されてその場にあった消火器で頭を殴ったと思われる。

第一発見者である同僚の磯辺礼子は、花森教授の研究室に行く途中で、虫たちが何かを訴えかけるように激しく鳴くのを聞いたという。
「ああいうのも虫の知らせっていうんでしょうか?」

(刑事)「あなたも花森教授と同じように付属病院で授業をなさってるそうですね。」

(礼子)「はい。 花森先生は理科で、私は国語を教えてるんです。 ゆうべは 論文を書いてて遅くなってしまって…。」「虫たちが 訴えかけるみたいに激しく鳴いてたんです。」

(虫の鳴き声)
生き物に優しくすると恩返ししてくれると言われることがあるがはたしてどうなのだろうか。
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「当店オリジナルの抹茶カクテルです。その材料です。ジンに抹茶…。」
「あの…この男性 ゆうべこちらに来ませんでしたか?」
「女性とご一緒でした。」

抹茶を使ったカクテルを出している店を調べた結果、花森が事件前夜にバーでカクテルを飲んでいたことが判明する。バー店主の話では、花森教授の言葉が耳に残ったという。

「やっぱり 自白しようと思う。6年前の罪の事。」

=つづく=

【注】このストーリーは、2018年11月29日(木) 20:00~20:54 テレビ朝日で放送されたドラマ「科捜研の女」脚本:岩下悠子・監督:兼崎涼介のあらすじを書き起こしたものです。
(八咫烏)

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