こんなところにまで、ジャコウアゲハの蛹

我が家のベランダであればどこで蛹になってもらっても別にかまわないのですが、ジャコウアゲハにはそんなことまでは分かりません。ベランダの床を這って這って、ついにはお隣さんのベランダまで。さらには皆さんが使う非常階段にまで進出する始末。住民の皆さんがどなたもチョウ好きであってくれればいいのですが、必ずしもそうとは限らず。まして、青虫・芋虫・毛虫という幼虫となるとさらに受け入れてもらうのは難しい。特にジャコウアゲハは蛹になってしまえばそれほどでもないと思うのですが、幼虫時代は白黒でイボイボがあるナマコのようなどう見ても可愛いとは言い難い姿をしていますのでなおさらです。それで、お隣さんにはお手紙を差し上げ、さらに写真を持ってご説明に伺い、一応のご理解も頂きました。

蛹で驚かされたのは、やはり何といっても非常階段にまで進出していたことです。幼虫の大きさからすれば、ずいぶん距離が離れているのですが(参照:「時速36メートル」)。それは9月末のこと、たまには階段を、と歩いて登っていた時、偶然見つけたのです。あわてて写真のごとく小さな貼り紙を貼りました。まずこの3階の階段のところへ一枚。そして、念のため各階を調べてみました。やはり、ほかにも2カ所にいましたので、同様に貼り紙を。その後、数日して様子を見に行ったところ、なんと3階の貼り紙に対して、どなたか心優しい方が返事を書いてくださったのです。飼育責任者としてほっと胸を撫でおろしたものでした。
下の写真は蛹になってから約2か月後のものです。我が家から1階下の3階の階段で。

拡大したのが下の写真です。書きにくい階段のこの場所の貼り紙に書き込まれていた「わかりました。元気に越冬できますように。」との返事。ただただ、感謝! さらに先日は床のジェット洗浄があったのですが、作業をする方にはジェット噴射が当たらぬようご配慮を頂きました。これまた、感謝! あっ、もう一人毎日の清掃を担当してくれている「Oさん」がいました。彼は、私が飼育しているのを以前から知っていて、これら脱走者をちゃんと見守ってくれていました。掃除の邪魔でしょうが、春までよろしくお願いします。もう一つ感謝!

 

下の写真は、我が家からさらに上、5・6階の階段の踊り場のものです。この場所は雨が降るとほぼまちがいなく濡れてしまう場所なのですが、蛹にとってそんなことは気にならないようです。自然界では冬眠中に雨だけでなく大雪さえも降ることを考えれば、ハイムの階段は安全で快適な場所なのかもしれません。

ともかく、飼育者として一言だけ言いたい、「蛹よ。お前たち、この上は来春には立派に羽化しないわけにはいかないぞ!」と。

(Henk)

参考 蝶図鑑 ジャコウアゲハ 

こんなところにまで、ジャコウアゲハの蛹” に対して2件のコメントがあります。

  1. 山ちゃん より:

    階段や踊り場に蛹を作って越冬。
    実に興味深い、どういう経路で何を目的にジャコウアゲハがこの様の場所にまで逃走したのか・・・・それが 不思議です。
    ジャコウアゲハの幼虫には住み慣れた場所を離れての放浪癖でも有るのですかね。
    注意保護を呼び掛ける小さな張り紙、子供達には身近に自然観察する機会が増えて単に昆虫ファンを増やすにとどまらず、情操教育の観点からも素晴らしい事だと思います。

  2. Henk より:

    山ちゃん

    いつもコメント有難うございます。
    チョウは、幼虫時代に食べていた食草でそのまま蛹になるものや、なぜだかわかりませんが、わざわざ食草とは別のところで蛹になるものがいます。このジャコウアゲハは後者です。時速36メートルのチョウ・スピードで這って移動しますが、垂直な壁も登れるし、天井でも自由に這って移動できます。将来チョウの脚になる3対の脚の他に、腹の部分には4対の腹脚、1対の尾脚があるのでベランダ伝いにほかの階へ行くのは全く問題ありません。チョウになったら、何処へでも好きなところを放浪できるのに、わざわざ幼虫の時に這いまわることもなかろうにと思いますね。
    おかげさまで、近所の小学生の子供たちや年配の女性にも新しいファンができました。子供たちは「xxxで、黒い蝶々見たよ。」とか、私がカメラを持って歩いていると、「今日は何を撮った?見せて見せて。」と声をかけてくれるようになりました。 Henk

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