季節外れのアオスジアゲハ

アオスジアゲハはハイムのチョウともいえるほどよく見かけるチョウです。ハイムにはアオスジアゲハの食樹(幼虫のエサとなる木)がたくさんあり、クスノキだけでも91本、さらにヤブニッケイ・タブノキ・シロダモなど他のクスノキ科の植物もたくさん植えられていて、幼虫がエサで困ることはありません。

この上の写真は10月20日過ぎに北側のベランダに置いた飼育箱の中で蛹になったばかりのアオスジアゲハです。私はこれまで夏場のシーズン最中には何度も幼虫を連れて帰って飼育したことはありますが、シーズンもほぼ終わりかけたその頃には、飼育中のほかのアゲハ類(ジャコウアゲハ・ナミアゲハ)も早々と越冬蛹となり始めていましたから、てっきりこの蛹もこれで冬眠するのかと思っていました。そして、さらに1か月以上が経った11月末にも何の変化も見られなかったので、やはりこのまま越冬するものだと確信していました。

しかし、12月に入り3日あたりから、突如様子が変わり始めたのです。

きれいな薄緑色だった蛹がだんだん黒ずんできたので、「可愛そうに、こいつも幼虫の時に何かに寄生されていたのか」と思っていましたが、実はそうではなかったのです。6日には蛹の中の様子がだんだん見えるようになり、アオスジアゲハ特有の翅の青い筋まではっきり透けて見えだしました。これには驚きました。「まさか、この時期に羽化する気なのか?冬眠してたのではなかったのか!」。この飼育箱を置いてある北側のベランダでは、11月後半には夜には10度以下までは気温が下がっていたし、昼間でも日が当たらないので暖かい日でも15度くらいがせいぜいで、とても蝶が活動できる温度ではなくなっています。

そして、12月8日朝起きて見ると、ついに飼育箱の中で季節外れの羽化を始めていました。

飼育箱の中の足場の悪いところで翅は何とか伸ばせたものの、体にはまだ力がはいらないようで、羽ばたきも出来ず自由に動くことができません。そこで、急遽飼育箱から出して、少しでも体温が上がるように陽があたる南側のベランダの鉢植えのセージの葉に何とか止まらせました。しばらく様子をみていたのですが、その後私は外出してしまい昼前に帰宅した時には既に姿は消えていました。
無事、飛び立つことができたかと思いましたが、どうでしょう。もし仮に無事飛び立っていてもこれからは日ごとに気温は下がるし、蜜が吸える花もほとんどなく、思うようには活動できないでしょう。まして巡り合える仲間はもうどこにもいなくなっているはず、どうするのだろうという、ちょっと悲しい気持ちになりました。

羽化する時期を間違えてしまった! 何かのいたずらで、羽化するプログラムのスイッチが入ってしまったらしい! 仲間もいない世界でただ1頭冬に向かわなくてはならない。アオスジアゲハは通常は蛹で越冬するということだが、果たしてこの個体は来春まで生き延びることができるのか?

しかし、ものは考えようで、この個体は新しいチャレンジをするたくましい奴だったのかもしれません。今後は、東京近辺でも成虫で越冬するアオスジアゲハも増えるかもしれません。実際、成虫で越冬する種類はたくさんいますから、少し寒冷対応できればアオスジアゲハにも出来なくはなかろう?!

(Henk)

参考 蝶図鑑 アオスジアゲハ

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