ツマグロヒョウモンはどのように越冬するのか?

チョウは、それぞれの形態で越冬します。あるものは卵で、あるいは幼虫で、蛹で、成虫でと様々なやり方で冬を越します。ツマグロヒョウモンの場合はどうなのでしょうか? 一般的にはツマグロヒョウモンは「幼虫の姿で冬を越す」と言われています。たぶん、ほとんどのものがそうするのでしょう。しかし、我が家に今一ついるのは12月にはいってこれから本格的な冬を迎えようというのに蛹の形なのです。おそらくこれから先には羽化しないのではと思うのですが、果たしてどうなのでしょうか。というのも、蛹で越冬すると言われていたアオスジアゲハが意外にも先日羽化してしまったことを考えると、首をひねらざるを得ません。(参照:「季節外れのアオスジアゲハ」

このような話をした背景は以下のとおりです。
この秋、matsさんにスミレの1株と一緒にツマグロヒョウモンの幼虫を2つもらい、初めて飼育してみることになったのです。偶然にもウマノスズクサを植えていた植木鉢にどういうわけか植えてもいないタチツボスミレが芽を出して、花も咲かせぬままどんどん勢力をひろげていたところでした。そのまま幼虫をスミレの株ごとその植木鉢に移して様子を見ていたら、10月下旬には2つとも下の写真のように立派に羽化しました。

しかし、話はそれで終わりではありませんでした。2頭のオスが羽化してしばらくして、その後にまだもう1つ中くらいの大きさの幼虫がいるのを発見しました。それは最初のスミレに卵がもう一つ付いていたのか、それともタチツボスミレに別の個体が来て卵を産みつけたものなのかは分かりませんが、ともかく黒と茶色のあの幼虫がいるのです。その時点では、10月末という時期的なことから、この幼虫はもうそのままスミレの根元で越冬するものと思っておりました。しかし、11月中旬にその幼虫は蛹にまでなってしまったのです。その場所は、近くに植えてあるローズマリーで、枝葉が混みあっているところにわざわざ潜り込んで狭いところで下の写真のようにぶら下がってた前蛹となりました。

次の写真が現在の蛹の様子です。蛹になってから羽化するまでにはちょっと長すぎる気もしますが、先日のアオスジアゲハの例もあるので真冬でも羽化してしまうのか? それとも、このまま蛹で冬を越すつもりなのか?

少なくとも、この個体に限って言えば「幼虫の姿での越冬はしなかった」のです。やはり、チョウの世界にも変わり者がいて、時々はこんなこともやっているのでしょう。

(Henk)

参考 蝶図鑑 ツマグロヒョウモン

 

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