ついに目撃、その瞬間!

飛ぶチョウのいないこの冬はコムラサキの越冬幼虫に遊んでもらった。そして、この日(3月11日)、越冬を追え幼虫が越冬場所を離れるその瞬間を目撃することができた。
ヤナギの樹皮の割れ目で殆ど誰にも気づかれずに(?)越冬していた僅か1㎝程度の小さな幼虫が、春を迎えて徐々に覚醒し、その越冬場所を離れて芽吹き出したヤナギの梢へと移動して行く(と言われている)。この冬の間ずっと観察してきた5頭の幼虫だが、最近のわずか数日のうちに1つ減り2つ減りと知らぬ間に移動していった。そして、前日の時点では残り2頭になっていたのだが、この朝見に行くともうたった1頭しか残っていない(下の写真)。この数日の間に既に4頭は知らぬ間に移動してしまったのだ。以前から、なんとか移動を開始するところを見たいものだと思っていたのだが、最後の1頭になってしまい、この調子ではもしかするとこれもまた見逃がしそうに思えた。

しかし、ついにチャンスは巡って来た。この日も1時間近く現場で粘っていたのだが、気が付くとまた突如上半身を反り返らせる動きを始めた。数日前は最初の2頭が頭を上げ体を反り返らせるような仕草をしたあとで移動したらしい(その瞬間は見逃したが)ので、移動開始が近いのでは・・・。その通り、やがて移動を開始した。幼虫のすぐ右斜め下にある樹皮の窪みが越冬場所だった。一旦越冬場所を離れて動き出すと、這うスピードは小さい体に似合わず意外と速いのには驚かされた。デコボコのヤナギの幹を首を左右に振り振り進路を確かめながらもどんどん上に登っていく。1分間で20㎝、あるいはそれ以上のスピードで移動している。だから、少しの間でも目を離してしまうとあっという間に枝の高い所まで登って、結局見失ってしまうことになる。1m以上離れると、樹上にいるわずか1㎝程度の幼虫を木の下から見上げただけでは見つけ出すのはほぼ無理だ。

ただ、この1頭はこれまでの付き合いということもあるので、これから登ろうとしていたヤナギの枝の先端の枝を採って一緒に我が家へ連れて帰ることにした。初めてのことなので上手く行くか不安なところもあったが、初めての飼育に挑戦してみることにした。この1頭には気の毒かも知れぬが、さらにしばらく付き合ってもらおう。新鮮なヤナギの葉は保証する。

(Henk)

参考 蝶図鑑 コムラサキ

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