何という変身ぶり、クロコノマチョウ

今年最後の話題になります。

これは生田緑地で落ちた熟柿の汁を吸っているクロコノマチョウの成虫。長い口吻をしきりに動かし一心不乱に食事をしており、カメラを至近距離まで近づけても全く気にしていません。

次の写真は滅多に見られない大きく翅を開いたところ。これは羽化直後のようでした。

翅の端にある目のような模様が印象的です。閉じていれば翅の裏側がとても地味なだけに翅を開いた瞬間にはドキッとします(敵へのある種の威嚇?)。

さて、このクロコノマチョウ。卵だけはまだ見たことがありませんが、このチョウは幼虫・蛹・成虫の時代で目まぐるしく姿を変えます。もともとチョウは「完全変態」といってその成長過程で大きく姿を変えるわけですが、クロコノマチョウは各過程で色・形ともに変化がかなり大きい。
クロコノマチョウはこの辺りだと生田緑地で見られます。しかし、私自身は10年以上前に一度見ただけで、それも翅のすり切れたもので、その後は長い間お目にかかっておりませんでした。それが、昨年は何度も写真が撮れたので、それに味を占め今年も再会を狙っておりました。その甲斐あってか、matsさんと一緒の時に翅を開いた成虫に加えて、ジュズダマにいた幼虫・前蛹・蛹というそれぞれの過程での姿を一度に見ることができました。これは偶然にしても出来過ぎている感じさえしました。

その後何度か生田緑地に行き、青虫を3つ連れて帰り飼育してみることにしました。問題は、ハイムの近所にあったはずのジュズダマの茂みがきれいさっぱり刈り取られていたことでした。探しに探し、ほかの場所でやっと確保、エサの途切れもなく何とか蛹にすることができました。そして、みな無事に羽化し飛び立ちました。何とかハイムの近辺で定着してくれることを期待します。ただ、個体数が少ないのですこし不安な面もありますが。

ともかく、飼育した時の写真を成虫から幼虫へと逆の順番でご紹介しますので、その変化をご覧ください。

飼育した個体が羽化した直後。隣には蛹の抜け殻がありますが、きれいなヒスイ色の丸い蛹からこんな大きな枯葉のような渋い感じのチョウが出てくるのです。まだ緑色の別の蛹もぶら下がっています。

蛹になったばかりの綺麗なヒスイ色の蛹。この段階だと、透き通っていて中の中まで透けて見えています。この蛹からあのような成虫が出てくるとは・・・。この蛹ですが、どう言うわけか食草のジュズダマを離れてすぐそばにあったサンショウの枝に移ってぶら下がって蛹になりました。

そのあとには、愛嬌のあるこのような幼虫時代の抜け殻が落ちていました。顔の部分がちょっとウサギのような感じがしませんか?

ひょろ長い青虫が蛹になる前には、尻を固定してこうして釣針のようになって丸まって固まる。そして、最終的には丸い紡錘形の蛹になる。であれば、幼虫の姿は最初から太く短い寸胴型でもいいように思うのですが、体の形だけでなく中まで全て大幅に作り替えるという面倒くさいことをしている。まあ、それが「完全変態」ということではありますが。

幼虫は、細く、無駄に思えるほどやたらにひょろ長い青虫なのです。角があり、黒っぽい顔は何とも愛嬌がある。

(Henk)

参考 蝶図鑑 クロコノマチョウ

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