蜜を盗む?イチモンジセセリ

この時期、ハイム2号棟南側にはたくさんのタマスダレが花を咲かせています。そのあたりを何頭ものイチモンジセセリが忙しく飛び回っているのですが、多くのものが開いた花の上にはなかなか止まらず、花の下の萼にあたる所にぶら下がるようにして止まります。そして、花びらが大きく開く前の花びらと花びらの隙間に器用に口吻を差し込んで蜜を吸っているようです。何頭も同じ行動をしています。たまに、大きく開いた花の中に上から入るものもいますが、これはどちらかというと少数派のようでした。この違いはもしかすると花の開き具合からくるのかもしれません。

花の下から蜜を吸われるということは、花にとってはこのチョウは受粉の手助けをしてくれていることにはなりません。蜜は、受粉を手伝ってもらう時のいわばお礼でもあるわけですから、これでは花にとってはタダで蜜を盗まれているだけということになります。

このようなことはカタクリの花でもあるということを最近知ったばかりでした。日本チョウ類保存協会のある方の研究によれば、カタクリの花とその蜜に来る虫たちの関係では、ちゃんと受粉の手伝いをしてくれるチョウと受粉の媒介をせずただ蜜を盗んでいるだけのチョウがいるとのことです。前者の代表はギフチョウで体中に花粉を付けて受粉を手伝いますが、後者はコツバメというチョウで花びらに止まっても雄蕊には全く触れずにちゃっかり蜜だけ吸うそうです。このことをタマスダレに来たイチモンジセセリを見て思い出しました。イチモンジセセリのすべてがタマスダレの蜜を盗んでいるわけだはなさそうですが、多くがそのような行動をしているのは意外でもあり、とても印象に残りました。

(Henk)

参考 蝶図鑑 イチモンジセセリ

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