一時的なオアシス 10

カラスアゲハの幼虫が終齢になったので、先月26日にその幼虫がいるサンショウにすっぽりと網をかけたのですが・・・。今回はその後日談です。

植木鉢全体に網をかけたことで、幼虫が寄生バチや鳥に狙われたり、逃走の心配がなくなったと安心していたのですが、大変甘かったと痛感させられました。数日して、30日夕方に見ると幼虫は網の内側で蛹になりそうな気配なので、いっそのこと幼虫だけを飼育箱に移そうとすぐに翌31日の朝一番で網を取ったのですが、そこにいるはずの2匹の幼虫がどこにも見当たりません。そうです、かぶせた網と鉢のわずかな隙間から脱走をしたらしいのです。慌てて辺りをさがしていると、5メートルほど離れた近くの壁に既に背中に糸を回して前蛹(蛹になる前の状態)となって張り付いていたのです。しかし、見つかったのはこれ1匹のみ、もう1匹は行方不明。どこかにいるはずですが、その日には結局発見できませんでした。

【幼虫1】 網の中で蛹になる気配?

壁で前蛹に

6月1日朝外出時に壁のこの1匹はまだ前蛹でした。ジャコウアゲハなどは前蛹になってから蛹になるまでに1週間前後かかっていたので、これならまだ蛹にはなるまいと思っていました。しかし、正午前に帰宅して確認するともう蛹になっているではありませんか。

壁ですぐ蛹に

何と早いことかと感心していると、今度はご近所の方が「行方不明の1匹を見つけた。」と連絡をくれました。これもサンショウを数メートルほど離れたところでした。さっそく確認に行くと、そこにある収納箱の取っ手の部分で蛹になる態勢で、その幼虫は体を何度も何度もよじりながら皮を脱いで蛹になる最中だったのです。この絶妙なタイミングでご近所さんは連絡してくれたのです。たくさん飼育していてもなかなか蛹化の瞬間に立ち会えるものではありません。その意味で、とてもラッキーでした。

【一時行方不明になっていた幼虫2】 蛹化中、幼虫の皮を脱ごうともがいている最中。

1日してすっかり固まった蛹(ただ、ちょっと気がかりなことも。この蛹の中ほどに黒い点が見えることです。もしや既に寄生されてしまっているかもしれません。)

このご近所さん家族はミカンなどを鉢植えでたくさん育てておられ、これまで何度もアゲハとの付き合いを経験されていたこともお聞きして、それ以降このオアシスで水遣りのたびにチョウにまつわる話に花を咲かせるようになっていたのです。我が家のカラスアゲハの幼虫もお見せしていたことで今回の行方不明蛹の発見にもつながったわけです。人皆感性は千差万別ですが、幼虫を毛嫌いしたり、目の敵にする人ばかりではないことが改めてよく分かりました。

オマケ:
蛹化の途中では、幼虫時代の目玉模様のついた非常に薄い皮が次第に後ろに押し下げられていく様子が見られます。下の二つは別個体ですが、左右の写真を見比べてください。

そしてて最後は、尻尾のところから、こんな脱皮後の皮が丸まってポトリと落ちます。愛嬌のある幼虫の顔や足だった部分がそのままです(画像クリックすると拡大できます)。

 

 

 

 

 

 

(Henk)

参考 蝶図鑑  カラスアゲハ

 

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