先週の11月13日の朝日新聞の記事に続いて、昨日17日の日本経済新聞の記事、さらにNHKニュースでもショッキングな話として報じられていたことがある。環境省・日本自然保護協会は12日、国蝶オオムラサキを始め、身近なチョウと考えられてきたチョウ87種のうち34種がここ10年ほどの間に急減しており、絶滅危惧種に相当するような減少となっていると調査結果を発表したと。特に、その中でもミヤマカラスアゲハは31.4%減、オオムラサキは16.1%減と絶滅が危惧されるほどの減少となっている。さらに続くこと、ゴマダラチョウ・ヒメジャノメ・イチモンジセセリ・キタテハ、いずれも馴染みのある種類ばかりだ。

今年4月末から、この蝶百科図鑑を始めた我々にとっても、この調査結果は気にしないではいられない。我々個人のレベルでも正確ではないにせよ、減少傾向は漠然とではあるが感じられている。しかし、また、数年間殆ど姿を見なかった種類のチョウを久しぶりに見ることもある。私自身の今年の例でいえば、生田緑地でのオオゴマダラシジミ・クロコノマチョウ、いずれも何年ぶりかに見ることができた。今年も見るまでは、この辺りではもういなくなってしまったのかと思っていた。一方その逆で、例年確実に姿を見せていたミドリシジミなどは、今年はある意味の「不作の年」なのか一度姿を見ただけに終わってしまった。これは私自身のタイミングが悪かっただけかもしれないが、それはそれで、大いに気になるところではある。

生物、なかでも昆虫にとって、自然環境の大きな変化はすなわち直接死活問題となる。里山自体がもはや純粋の自然状態ではなく長年人の手が入った特殊な環境ではあるが、その里山の荒廃・宅地開発などで従来の生物の生息地がせばめられることや、農薬使用などの影響で植物(昆虫の食草も含め)が失われること、卵・幼虫の段階でも殺されるなどがあるかもしれない。さらに、稀少性を狙った乱獲もその一つであろう。しかし、それよりもより根本的な問題は、人間自身の無知ではなかろうか。自然の植物やチョウやトンボを含む昆虫などの生き物の存在に全く無知・無関心・無頓着であることが最も大きな原因かもしれない。

ミヤマカラスアゲハについては毎年カメラを持って近郊の生息地まで撮影に行くのを楽しみにしている。そこでは捕虫網を持ったいわば捕虫のプロと思しき人たちをよく見かける。囮のチョウまで準備して、チョウをおびき寄せて網で何頭も捕獲する。しかし、我々は彼らとは違って網は持たない。カメラ撮影のみ。網を振る彼らも別に法律を犯しているわけではないので、彼らを強く非難するつもりはないが、それを見ていて何か淋しい気持ちにさせられてしまうことだけは確か。彼らは彼ら自身が気に入っている蝶の絶滅を少しずつ早める手伝いをしていることに気づいているのだろうか?

(Henk)

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