学名の四方山話 クジャクチョウ

クジャクチョウを見るたびに頭をよぎる四方山話です。 mats

和名:クジャクチョウ 学名:Inachis io 英名:Peacock

学名のイオ(io)はギリシャ神話に出てくる美しい娘です:

全知全能の大神ゼウスがイオに一目惚れして浮気したため嫉妬深い奥方のヘラは怒り心頭、イオを牝牛に変えて、100の眼を持つアルゴスに見張りをさせる、不憫に思ったゼウスはヘルメスにイオ救出を命じアルゴスは退治され、ヘラは残ったアルゴスの眼をクジャクの羽に落とし込こむ(孔雀の羽の由来)とともに、逃げる牝牛のイオに対しては「復讐の女神」を差し向け追い詰めて悩ませ続けるというお話です。怖いですね・・・

学名のInachisはイオの父親である河の神イナコスですが、神話からイオはクジャクに関係があるといえばあることがわかります。トップの写真はフランス、パリ郊外のヴェルサイユ宮殿の離宮、グラン・トリアノンの庭園で見つけたクジャクチョウ。日本にいるクジャクチョウ(東アジア亜種)の学名は、さらに「geisha」(芸者)が加わり「Inachis io geisha」です。それにしても一見厳かそうな学名にもこのようなイオだ、芸者だと、内容を知ると??といった予想もつかない要素が混じっているのはなんとも滑稽な気がします。因みに本家の鳥のクジャク(孔雀、インドクジャク)の学名は Pavo cristatus でどうやら神話とは無関係。三番目の写真は昨年8月末に長野県で撮影したクジャクチョウ(io geisha !)で亜種は違うはずですがヴェルサイユのとどこが違っているのかちょっと分かりませんね。

  参考 蝶百科図鑑 クジャクチョウ

↓ グラン・トリアノン (ヴェルサイユ フランス) 風化してしまった大理石の柱は印象的

 ↓ 長野県のクジャクチョウ(io geisha)2020年8月末 

四番目はイオの画像で十数年前になりますがウィーン美術史美術館(Kunsthistorisches Museum)で撮影した上記のゼウス(ローマ神話ではユピテル)の浮気現場を描いたコレッジオ(イタリー、16世紀)の最高傑作とされる「ユピテルとイオ」。イオに迫るため黒雲となったユピテルの巧みなぼかしの表現にはレオナルド・ダ・ヴィンチが発明したとされ、モナリザでもよく知られている技法(スフマート)が使われています。ついでに最下段はグラン・トリアノンでクジャクチョウの横にいたマキバジャノメ、日本にはいませんが流石ヴェルサイユ、花の効果もありジャノメチョウの割には随分派手に見えます。

 ↓ ヴェルサイユのマキバジャノメ

 

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