追憶のクモマツマキ その2 撮影

前回の記事で到達しなかった肝腎の撮影記録です。 mats

6月5日(土)

午後からいよいよ撮影、とは言え初めて訪れる地でありどこにクモマツマキがいるのか事前に調べようにも限界があり、さらには時期的に1週間から10日くらい遅いという気がして心配でした。可能性としては二本の登山道沿い、或いは沢の周辺が考えられるのでそこに的を絞って歩きましたが全く気配はありません。スミレかこの蝶の食草であるミヤマハタザオにとまっている写真を見かけますがスミレはほぼ終っていたので、蝶が訪花する対象としてはミヤマハタザオに絞らざるを得ません。あちこち探した末、沢に一株の花の咲いているミヤマハタザオを見つけ、周辺に花は皆無であること、蝶が通る可能性があることからこれに賭けてそばで待つことにしました。

釣好きの人のことを、「糸を垂らして、あとは見えもしない水の底で魚が食いつくのをひたすらボーっと待つなんて信じられない」と思っているのですが、他人のことを余りとやかく言えた義理ではありません。これだけ広大な山、沢、林、草地の大自然の中のたった一株の花に賭けて祈りながらもやはりボーっと待つのですから。しかし、幸運なことに勘は当たっていました。しばらくして突然、オレンジも鮮やかなオスが飛来し訪花したのです。動転の余りピントが合わずもたついている間に飛び去ってしまいましたが5分後くらいに再度飛来、またしても失敗。画像を確認すると恐ろしくぼけた画像で自己嫌悪に陥る始末。その後、天気に恵まれすぎたせいで気温が上がり一切飛来しなくなりましたがとにかくねばることにしました。そして、3時間近く経過しついに4時を過ぎて陽射しが弱まってきた頃から待ちに待った飛来と訪花が復活し、やっと今度は落ち着いてシャッターを切ることができました。時期的には遅いので少し羽に傷みは出ていますが満足のいく撮影ができました。途中で地元のKさんが加わり楽しい撮影が一段落すると、下流の方で見つけたというミヤマハタザオに産まれた卵のところまで案内していただきました。他のシロチョウと同様にミニチュア版の新宿コクーンタワーのような形状です。産卵直後は白っぽいのが時間の経過と共に赤くなってくるので、色からするとまだ新しい卵であることがわかります。

信濃大町のホテルまでKさんに送っていただき、あとは残された翌日6日(日)の昼過ぎまでに望みを懸けます。

  ↑  ↓ ↓ ↓  食草のミヤマハタザオに飛来するオス

  ↓ ミヤマハタザオに産まれた卵。産卵後時間が経つと赤っぽくなることからまだ新しい卵とわかる

6月6日(日)

早朝バスで扇沢に到着。曇っていて肌寒く、前日の川原に陽が当たるまで登山道やその周辺を歩きましたが気温が低いため殆ど蝶は飛びません。扇沢バスターミナルに巣を作っているイワツバメや登山道にいたアカゲラ(キツツキ)などを撮影して時間をつぶし、11時頃には川原のお馴染みのミヤマハタザオ横で待機開始。午後1時には撤収しないと帰りのバスに間に合わないため2時間勝負です。温度が上がってきた12時にオスが近くを飛ぶのを目撃、そして12:15前日には姿を見なかったメスが飛来・訪花し既に実績もあるので余裕をもって撮ることができました。メスはまだ新鮮で羽も傷んでいません。かくしてオス、メスともに撮影成功。もちろん写真の背景その他の課題はありますがともかくなんとか撮れたという満足感に浸りながら扇沢をあとにしました。ふと考えると、小さな一株のミヤマハタザオの前に二日合わせて6時間以上いたことになります。釣好きの人もあきれることでしょう・・・

  ↑ ↓  食草のミヤマハタザオで吸蜜するメス

 ↓ 帰りの中央線特急「あずさ」での一人祝勝会

 

追憶のクモマツマキ その2 撮影” に対して2件のコメントがあります。

  1. モク より:

    アカゲラなどを撮影し時間をつぶし…」贅沢な!(笑)
    今年は生田緑地ではアカゲラは撮影できませんでした(泣)
    クモマツマキのオスはきれいですね!飛んで来たらやはりあわてますね。

  2. mats より:

    モクさん、
    大変失礼しました! アカゲラさんにも!
    その1で書いたように実は日本でクモマツマキチョウを見るのは初めてでした。なんだかとても飛んでくるような気がしていなかったので実際に目の前に現れると大慌てでピントも合わせられず醜態をさらしてしまいました、誰もいなかったからいいようなものの・・・
    土日で行った割には天気にも恵まれ我ながら上出来で満足しています!

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