ウラギンシジミの季節

今、多摩川の河川敷にはクズが我が物顔に蔓を伸ばし大きな葉を茂らせている。その葉の下には赤紫色のたくさんの花をつけている。その季節が待ち遠しかったチョウがいる。その一つがウラギンシジミだ。彼らはクズやフジなどを食草としているのだ。雌雄ともに翅裏は純白(銀色にも見える)で、オスの翅表は鮮やかなオレンジ色、メスはやや渋くこげ茶色の地に淡いそら色の斑紋がある。
普段からこのチョウは高速で飛ぶことが多いが、この時期にはオス同士の縄張り争いからさらに高速でのバトルを繰り返す。またオスがメスを追いかけるのもかなりのスピードを出している。オスがメスを追いかけているところに急に横合いからオスがもう1頭が加わり3頭でそれぞれ付かず離れず無軌道の高速飛行を繰り返す。相手の動きを察知(予測?)して瞬時に対応している。それ程きわどい飛行をしながらも、未だ嘗てお互い衝突するのは見たことがない。ともかくこの高度な飛行技術には感心せざるを得ない。

この日のトランセクト調査ではそんなウラギンシジミには随分悩まされた。一体何頭いるのかが分からなくなる。前後・左右・上下と高速で目まぐるしく位置を変えてかなり広い範囲を飛び続けるので正確に数えるのは苦労する。ただ、高速で飛んでいても、銀色とオレンジ色がチラチラするので、広い視野で大体目分量で6頭はいそう、いやもっと10頭ほどもいるか、という具合にならざるを得ない。ともかく、調査員泣かせである。

一通り予定の調査を終え再度その場所に戻り改めてじっくり観察していると、1頭のメスが葉裏でじっとしている。葉裏に頭を下に逆さまに止まっている(このチョウはよくそんな止まり方をする)。そっと指を差し出してみると、意外に簡単に乗り移ってきた。見るところ羽化直後のようで、指に乗ってしばらくして翅を少しだけ開いてくれた。これではまだ、先輩たちのような高速飛行はきつかろう。

(Henk)

参考 蝶図鑑 ウラギンシジミ

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