クロマダラソテツシジミの謎(1)

つい先だって初めて出会ったばかりのチョウ、クロマダラソテツシジミには、正直言って相棒のmatsさん共々随分悩まされました。いくつもの分からないことが次から次へと出てきて、そう簡単には解決しそうもありません。ただ、そのうちの一つ、ほんの一つの謎ですが、ほんの数日前にはっきりしました。
ということで、ここまでの約1ヶ月ほどを何回かに分けて振り返ってみます。その先にある未解決のいくつもの謎については、これからの我々の観察によって少しずつ解き明かされていくことでしょう。

1.ハイムへはどこから飛んで来てたの?:

既にこのサイトの10月2日でご紹介したように、このチョウはこの日初めてハイムに姿を現しました。この日は、偶然ですが、我々(matsとHenk)は別々の時間帯に、それぞれ別にこのチョウがいることを「目撃」したのです(上の写真がmatsさん、下が筆者撮影です)。matsさんはこのチョウのことは沖縄で見て既に知っていたためすぐにクロマダラソテツシジミと判別できましたが、私はこれまでに見たこともないチョウなので後で調べてそれと分かったのです。そのようなチョウが、「なんとハイムにもいる」ことが非常に驚きでした。このチョウは、これまで一度も姿を見せたこともなく今年が初めてであり、一体どこから飛んで来たの?ということ。これが第一の大きな謎でした。

2.ソテツを探す:
さらに、そのチョウの特徴として幼虫はソテツを食樹とするということで、謎はさらに膨らみました。食樹はチョウの生存には欠かせないので、第一の謎を解くために、すぐに付近にソテツはないか探し始めました。この近辺ではあまりなじみのない植物であるということもあって、すぐには思い当たる所はありません。昔、関西地区の小学校の正門に大きなソテツがあったとか、病院などの玄関に植えられていたとかの記憶は蘇ってきましたが、今自分たちが住んでいるあたりにそのようなソテツが植えられているところはあったかどうか、すぐには思い出せませんでした。しかし、ここでちょっと考えたのが、クロマダラソテツシジミの拡散についてのこれまでの経緯です。もともと、日本にはおらず、1992年頃沖縄で発見され、その後急速に棲息地域を広げ、九州・関西地方、さらには最近は関東でも目撃されるようになっていること。これらから、この拡散には植木としてのソテツの人為的な移植によってソテツに付着した卵・幼虫・蛹のいずれかからその棲息範囲が広がった可能性を一番に考えました。もちろん、棲息地域の拡大はチョウ自身の飛行によることは考えられますが、この小さいチョウが毎年少しずつとはいっても自力で関東まで棲息範囲を広げてくるほどの飛行能力があるとは考えにくいように思うし、やはりまずは新しくソテツを植えたところはないか、近辺を探してみようと考えたわけです。

しかし、これは見事に失敗。と言うか、ハイムに出入りの植木屋さんなどに尋ねてみても、この辺りで新しくソテツを庭木として植えるところはまず聞かないとの返事。たしかに、よほどの邸宅でもない限り玄関先に場所をとるソテツを新しく植える余裕はあまりなさそうに思えます。公園などにしたところで、全く話は聞いたことがありません。そんななか、古いものでもいいのでどこかにソテツを植えているお宅はないものか、知り合いにも頼んで探した結果、我らが住む近辺でも意外なことにソテツが庭木として植えられていたことが分かったのです。

ある旧家の庭先の立派なソテツ

地区の旧家の南向きの広い庭に大きなソテツの株がドーンと植えられているところが数カ所見つかったのです。喜んですぐ見に行きましたが、しかし、そこのソテツはいずれも何十年以上と随分年季が入った立派なもので、しかも至って健康、食害と思しきところは一切見当たらず、チョウの姿も見えません。ソテツの発見には違いなかったのですが、これはガッカリの結果でした。

付近の小学校の正面玄関のソテツ
また、付近の小学校の玄関にもソテツはありましたが、これまた大きな株で健康そのもの。そんなことから、今飛んでいるチョウは北上する先でソテツ以外にも食べられる食草を見つけているのではないかということまでも考えました。

しかし、健康なソテツの大株を見てガッカリして帰宅する途中のこと、思わぬ発見があったのです。

ー続くー

(Henk)

 

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