クロマダラソテツシジミの謎(5) 見つけた、久地の発生樹!

10月2日に初めてハイムに現れたクロマダラソテツシジミの謎解き(?)の久地編です。 mats

10月2日にハイム遊歩道の花壇でその姿を見つけて以降、毎日のように天気さえ良ければ姿を現わすクマソ(クロマダラソテツシジミ)。そしてその現象はハイムのある南武線中野島だけに留まらず、私の仕事の関係で毎日のようにこの半年ほど通っている同じ南武線の久地(中野島から川崎方面に3駅目、距離にして6キロ弱)の多摩川沿いの建物周辺及びそこに至る住宅街の生垣やプランター(トップの写真)でもあちこちで見かけるのです。さらには溝の口の西側の東高根森林公園でもその姿を確認しています(但し、公園内でなくバス停)。

 ↓ 多摩川土手(久地)

いったいどこから湧いてくる(?)のか不思議で蝶を見かけるポイントの周辺を歩いてみましたが目的の食樹ソテツは見つかりません。そこで、いつもクマソを見かける住宅街と多摩川土手の2ポイントから、ハイム周辺の例にならって半径300Mくらいの範囲に絞って同心円が重なる部分を入り組んだ細い道までしらみつぶしに歩いてみました。

その結果:見つけました! 大きなお屋敷の庭に植えられた3本のソテツ、開かれた門から樹の廻りをキラキラ光りながら飛ぶ3頭のシジミチョウが確認できたのです。丁度庭にいらっしゃった家の方に事情を説明して写真を撮らせていただきましたがもちろんクマソでした。3本のソテツのうちの1本の葉が枯れたような状態になっていて、クマソが原因では?ということも含めお知らせしお話しを伺うと「植木屋さんによると枯れてはいないらしいです。でも、なんだか廻りで蝶がよく飛んでるのよね・・・」、かくして多摩川土手や近くの住宅街で見かけるクマソの少なくとも一つの発生源はこの樹であるということが確信できました。ソテツは2つのポイントからともに150Mの位置でした。

 ↓ 3本のソテツのうち右の一本は葉が枯れたような状態

 ↓ やっと見つけたクマソ&ソテツ

2日後に再度、お屋敷を訪れてご主人のお話を伺うと、「こんなこと(ソテツが枯れたような状態になる、蝶が飛ぶ)はこれまでなく、今年初めて。2~3週間前は気持ち悪いほどたくさん蝶がいた」とのこと。私が周辺住宅街や多摩川土手でたびたびクマソを見かけだしたタイミングにも一致します。この日も撮影しましたが4~5頭が樹の周辺を飛んでいて、またソテツ特有のゴツゴツの幹部分に張り付いたような個体も見受けられなんとなくソテツへのひたむきな「執着」が感じ取れました。「火のないところに煙は立たぬ、ソテツなければクマソは出ない」かな~・・・などと思いつつふと幹をよく見ると、いわゆる「低温期型」とされる裏がクロマダラでなく白っぽい個体が混じっていました。

 ↓ ソテツの幹にとまるクマソ。蝶の斜め左下の方に穴の開いた卵がひとつ見える(初齢幼虫が孵化したあと)

 ↓ ソテツに張り付く低温期型クマソ

ここで相当数発生したと思われるクマソが果たして越冬できるのかどうかはわかりません。こんな現象がこの地域では初めてということからすると一過性に終ることも充分考えられますが、クマソが多いとされる暖かい三浦半島あたりで越冬可能な状態になっているとすると、そこから北上するクマソの群れが通過する各所で見つけたソテツを橋頭堡として勢力拡大を計っているようにも思います。

図鑑「フィールドガイド 日本のチョウ」によるとこの蝶は『分散力は強く、飛び火的に各地で発生を繰り返す』とあり、一昔前(私の感覚からすると20~30年前)にはこのあたりで見られなかったツマグロヒョウモン、ムラサキツバメ、ナガサキアゲハなどが最近ではごく普通に飛んでいることを考えると、ひょっとするとクマソもあちこちの公園や個人邸に点在するソテツを拠点として同じような経緯を辿るかもしれません。今後も継続観察していくつもりです。

 

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