小さな、しかし、大きな悲劇 アカボシゴマダラ

緊急事態宣言下ではあるが、先日久しぶりに一人で神代植物公園に行った。往復は車、事前予約制での入園ということもあってか、人と出会うことは殆どなし。世界中が「武漢ウイルス」にこれほど異常なほどに振り回されるとは、もはや怒りの域を通り越してしまっている。そんな状況下ながら、広い園内ではマスクを外して木々の下で思いっきり深呼吸した。一日中曇りの天気予報だったが、あいにく途中から小雨も降り出した。

そんな小雨の中、何度かアカボシゴマダラが飛ぶのを見た。そのうちの一頭は下生えの茂みの中を行ったり来たりしているので、雨も多少は気にしながら立ち止まってばらく様子を見ていた。すると、一昨日の記事でも書いた通り、どうも産卵場所のエノキを探している様子なのだ。そして、どう見てもあまり樹勢がいいとは思えない小さなエノキを見つけ、産卵行動に入った。終わるまでじっと待って、卵を産んだと思われる葉をいくつか裏返してみると、確かにエメラルド色の卵が1個産み付けられていた。何度も紛らわしい動作はしていたが、結局産み付けた卵はたったの1個。産卵場所は、やはり、大木のエノキではなかった。取りあえず卵の写真を撮った。

産卵行動を始めたアカボシゴマダラ

葉裏に卵を産み付けた瞬間(ただし、大ピンボケで残念)

産み付けられた卵

そのエノキはこんな貧相な感じの木だった

しかし、その後でその撮った写真があまり鮮明でないことに気付き、1時間後に再び写真を撮りなおそうと戻ったところ、アカボシゴマダラにとっては予期せぬ悲劇が起こっていた。その卵に早速寄生バチ(?)と思われる卵よりもずっと小さなハチが卵を産み付けているようなのだ。それが最後の写真だが、まさかこんな写真を撮ることが出来たとは驚きだ。それにしても何という複雑怪奇な自然の営み。産み付けられて僅か1時間も経たないチョウの卵にすぐさま卵を産み付ける寄生バチ。油断も隙もあったものではない。おそらくこのアカボシゴマダラの卵は、無事(?)孵化し、順調に青虫を経て、蛹になって、羽化する寸前に内部から寄生バチの幼虫に食い尽くされて命を終わることになるであろう。見事に時限爆弾が仕掛けられてしまったのだ。そんな気の毒な蛹は他のチョウでもたくさん見てきた。先日のキベリタテハも同様。

産み付けられて1時間後のアカボシゴマダラの卵に寄生バチ(らしきもの)がさ卵を産み付けている

(Henk)

参考 蝶図鑑 アカボシゴマダラ
「アカボシゴマダラの真実とは?」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Optionally add an image (JPEG only)