こんな擬態もあるのか、オオアヤシャク

生田緑地ではいろいろな方と知り合うことができます。その中のお一人にいつも愛犬と一緒のAさんという方がおられます。昆虫などについてとても幅広い知識をお持ちの方で、いろいろ教えて頂きます。先日も、「こんな面白い擬態が見られますよ。」と、わざわざ教えて頂きました。私も昆虫の擬態の不思議さ・見事さには非常に興味を持っていましたが、今回の擬態は実際に自分の目で見て、すぐに言葉が出ませんでした。ほんとうに見事というよりありませんでした。
これは、オオアヤシャクという蛾の幼虫ですが、コブシの木の一部に擬態するのです。この時期は花が終わった後の緑色の花芯に、また冬場には茶色の冬芽に見事に化けるというのです。いわゆる尺取虫が細い枝に擬態して、むかし山仕事をしている人が土瓶をかけておくに都合のいい木の枝があるので、土瓶をかけた途端土瓶は落ちてこわれてしまったという言い伝えがありますが、それは俗に「土瓶割」と呼ばれているというのを思い出しました。

通常の青虫の状態でコブシの葉を食べるオオアヤシャク幼虫

危険を察知し、擬態を開始

擬態の途中

コブシの花芯の擬態完成

4日後の同じ幼虫。この時は満腹だったのだろう、先日とは違う場所でじっと擬態の態勢に入っていた。

コブシの花芯(比較のため)

このオオアヤシャクの幼虫は頭部(目から口も含め)や6本の脚をすべて一か所にギュッと集中収納(どんな言葉が適切なのか分からない。「収納」としか表現できない。)して、でこぼこの無い一本の棒状に変化させ、体の一番後ろの尾脚だけで体をささえて立っている。それはあたかも、この時期の葉が茂った枝先に残ったコブシの花芯そのものに見紛うほどの精巧さなのです。危険を察知するとこの態勢をとり、危険が去ると元の青虫の姿に戻り葉をもりもり食べ始める。私が見た時は、普通の青虫姿で盛んに葉をむさぼっていたが、ちょいと刺激すると、すぐに一本の棒に変化して見せました。なるほど、付近に残っている花芯と何ら差はありませんでした。枝先といっても変な場所で立っていても花芯とは見られないが、なるほど花芯があるべき場所をちゃんと心得て立っているのがこれまた憎い。お見事というよりありませんでした。

Aさん、今回も面白いものをご紹介頂き有難うございます。この驚きと面白さは、私の独り占めにはしておけない気持ちでこの記事を書きました。

(Henk)

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