「春の女神」に大歓迎された!?

ここ数年の年中行事で相棒のmats氏と登っている山はこの近辺ではギフチョウで有名な山である。それほど高くはないが「頂上まで500m」という標識以降の登りが意外にきつく、それを敬遠して敢えて頂上までは行かず山裾の花の周りだけでギフチョウを狙う人も案外多い。我々が汗だくになり膝をガクガクさせながら10時前に頂上に着くと、もう既に10人ほどがギフチョウの登場を待ち構えていた。しかし、その時点ではまだ陽射しもなく気温もちょっと低めで、他の昆虫の活動も殆ど見られず、みんな仕方なく時間を潰さざるを得なかったようだ。その対象の一つにセンボンヤリ(千本槍)という奇妙な名前の小さな野草(下の写真、スミレとともに)があった。頂上から見渡せば、2日前に雪が降ったらしく山頂部が少し見える富士山は真っ白。さらにすぐ近くに見える山も名前は分からないが、頂上付近には雪が残っている。今年はスミレが少し咲いているだけで、いつもなら咲いていてギフチョウやミヤマセセリなどの吸蜜しているのが見られるはずのモミジイチゴもまだ小さい蕾のまま(生田緑地ではもう咲いているのに)。今日はどれほどのギフチョウが見られるのだろうかと考えながら、ともかく待った。

そのうちにミヤマセセリが1つ2つと飛び始めたら、皆まるで飢えていたように一斉にミヤマセセリを追うが、それも時間潰しの一つであることに変わりはない。そして、ようやく10時半を回った頃、待ちに待った「春の女神」が1頭現れ飛び始める。そして、間なしに筆者はその女神に最大限の歓迎を受けることになったのだ! 女神が最初に止まったのはなんと筆者の靴だった。そして、さらに左手の甲にも一瞬止まったのだ。その時カメラは右手に持ってはいたが、残念なことにいずれもその瞬間を撮影するチャンスを逃してしまった。大いに悔やまれた。しかし、運よく筆者の近くにいた人(Kさん)が一人だけその瞬間を撮影しておられて、すぐに見せて頂いた。筆者はさっそく名刺交換をさせていただき、お願いして送って頂いたものが次の写真、女神による大歓迎の決定的瞬間だ。
Kさん、貴重な写真有難うございました。この場を借りて御礼申し上げます。写真はトリミングの上使わせて頂きました。その後、時間が経つにつれチョウの数は増え、皆興奮気味にシャッターを切る。都合10頭以上は集まっていただろうか。チョウたちは全く人を恐れる気配もなく人の間を器用にぬってあたりを自由に飛び回り、あちこちでわずかに咲いているスミレで吸蜜したり、地面に降りて休んだりする。その瞬間を狙って多くのカメラがチョウのあとを追いかける。もうその頃には、誰もミヤマセセリや時折現れる擦れっからしたヒオドシチョウを追いかける気など失くしてしまっている。実に薄情なものだ(笑)、でもこれが現実。

スミレで吸蜜したり、地べたで休んでいるギフチョウを何枚も撮って、「今日はいい日だった」と大いに満足して足取りも軽く下山した。山裾には10名以上の愛好家がバズーカのようなカメラを抱えて1-2頭現れるギフチョウを朝からずっと根気よく待っていたようだ。

(Henk)

参考 蝶図鑑 ギフチョウ

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